サッカー選手と肉離れ
サッカー選手は意外と肉離れが多いです。
相手やボールに反応して素早く動く必要があるからです。
コンディションに問題がなければ、普通に対応できるような動きでも、疲労が蓄積していたり、プレッシャーがかかっていたり、特別気負い過ぎて頭だけ突っ走ってしまい、受傷する場合もあります。
例えば、こんな選手もいました
私が知っている選手には、このようなケースがありました。
その選手は、つい先日子供が産まれたばかりでした。
サブで、ピッチ脇でウォーミングアップしている間も子供が産まれたからには、ゴールを決めて揺りかごパフォーマンスをしてやる!と意気込んでいました。
もちろん、ポジションはフォワードです。
しかし、スタメンのフォワードが先に点を取って、その選手のために揺りかごダンスをしてくれたのです。
当の本人は、揺りかごやってくれて嬉しいのは嬉しいけど、自分でゴールを決めて揺りかごしたい!とさらに強く思いました。
そして、ついに後半残り数分で出番が来ました。
絶対、決めてやる!
そう思っていたと後からも言っていました。
その2,3分後、裏に抜け出そうとした瞬間、ハムストリングスはミートグッバイ(肉離れ)してしまったのです。
試合を見ながらも、子供が産まれたばかりということを知っていたので、気合入ってるだろうから空回りしないといいな、と思いながら見ていたら、案の定やってしまいました。
ということで、長くなってしまいましたが、体と心(頭)のミスマッチでも肉離れが起こることもあるので、要注意です。
さて、長くなってしまいましたが、ハムストリングス肉離れの後遺症を取るために大事なことについて、ご紹介します。
ハムストリングス肉離れの後遺症を取るために大事な3つのこと
坐骨結節の動きを出す
ハムストリングスは骨盤の下の方の骨である坐骨結節に着きます。
この辺です↓
この坐骨結節ですが、骨盤の傾きで位置が変わります。
骨盤が前傾すると、坐骨結節は後上方に動きます。
これはハムストリングスの起始部が上の方(停止部と逆の方)に移動するので、ハムストリングスは伸ばされます。
逆に骨盤が後傾すると、坐骨結節は前下方に動きます。
すなわちハムストリングスの起始部が下の方(停止部の方)に移動するので、ハムストリングスは緩んでしまいます。
したがって、骨盤は前傾過ぎると、引っ張られて伸ばされた状態で力を発揮するため、力は出やすいが、ハムストリングスに加わるストレスも大きくなります。
逆に、骨盤後傾過ぎても、ハムストリングスが緩んでしまうので、力が発揮しにくく、パフォーマンス的にはおすすめできません。
したがって、どちらもハムストリングスにとってはお勧めできません。
以上は、骨盤のアライメントが関係しているという話です。
これは、動作や体の使い方を指導する上で非常に大事な観点です。
これに加えて、徒手的に坐骨結節にアプローチするべきことがあります。
本当はこちらが大事なことの一つですが、それと同じくらい上記の骨盤のアライメントも大事なので、説明を入れました。
さて、本題の徒手的に坐骨結節にアプローチするというのは、具体的に言うと、坐骨結節が動くようにしてあげるということです。
坐骨結節が動く?
どういうこと?
って、なりますよね。
坐骨結節にはハムストリングスの付着部だけでなく、仙結節靭帯や外旋筋群、大内転筋が付着します。
これらが引っ張り合うことで坐骨結節が身動きが取りにくくなっています。
さらに、さまざまな方向から引っ張られたり、坐骨結節は突起部なので、尻もちを付いたり、という具合に摩擦や伸張ストレスに晒されており、微細な炎症も起こりやすい場所です。
したがって、少しずつスカーティッシュ(瘢痕組織)も蓄積されやすい場所とも言えます。
坐骨結節のまわりを丁寧にスカーティッシュにアプローチしながら、坐骨結節に付着する軟部組織の緊張も落としていきます。
そうすることで、わずか数ミリでも坐骨結節が動く余裕を作ってあげることで、ハムストリングスへの余計なストレスを緩和することができるのです。
ハムストリングスの滑走をよくする
2つ目は、単純にハムストリングスの内側と外側の間の癒着を剥がすように(イメージ)滑走をよくします。
ハムストリングスは内側は半腱様筋と半膜様筋から成り、外側は大腿二頭筋の長頭と短頭から成ります。
ハムストリングス全体では膝の屈曲や股関節の伸展の作用を持ちますが、内側と外側とでは、下腿の内旋と外旋という反対の作用を有する拮抗筋にもなります。
したがって、内側と外側がそれぞれで作用できるように、癒着をなるべくしないように、大腿遠位の方から内側と外側の間に指を入れて、左右に分けるようにアプローチしていきます。
さらに細かく言うと、内側でも半腱様筋と半膜様筋、外側は大腿二頭筋の長頭と短頭もそれぞれ異なる作用を持っているので、それぞれが単独でしっかり作用できるようにというイメージでアプローチしていきます。
実際に癒着しているのか、アプローチしてそれが剥がせるのかはわかりません。
しかし、そのようにイメージしながらアプローチすることで、症状が緩和するケースが少なくありません。
外側広筋の硬さや張りを取る
3つ目は、外側広筋の硬さや張りを取るです。
なんで外側広筋?
と思いますよね。
外側広筋は大腿四頭筋のうちの一つです。
ハムストリングスは後ろに付いているのに、なんで外側広筋なんだろう?
まだ疑問は残ります。
では、後方から再度外側広筋の位置を確認しましょう。
思ったより、後ろまで付いていませんか。
遠位部の方はハムストリングスと隣り合って接しています。
大腿四頭筋とハムストリングスは拮抗筋の関係です。
これらが接している部分で癒着まではいかないまでも、外側広筋の緊張が高く、硬い状態だと、筋膜を通じて、外側ハムストリングスを引っ張ってしまうことは想像できますよね?
ハムストリングスの張りが気になっている選手は外側広筋が硬く、緊張が高くなっている場合が多いです。
したがって、これに対しても外側広筋を緩めるのもそうですが、外側広筋と外側ハムストリングスの間に指を入れるようにアプローチして、お互いに滑走しやすくなるようなイメージで触っていくとよいと思います。
まとめ
以上、大事な3つのことを紹介しましたが、いかがでしたか?
そんなこと知ってるよ!
と言われるかもしれませんが、確認と思って読んでいただければありがたいです。
また、ハムストリングスの違和感で悩んでいる選手がもし読んでくれていれば、ご相談に乗りますので、お気軽にご連絡、お問い合わせください。
実際に触らせてもらえれば、上記3つを丁寧に行うことで、症状は少なからず良い方向へ向かうと思います。
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