熱中症に絶対させない!水分補給のポイント!

前回は暑熱下のコンディションチェックについてご紹介しました。

今回はその続きで、実際に水分補給する際の注意点や具体的は方法についてご紹介します。

発汗のメリットとデメリット

発汗は皮膚から蒸発するときに皮膚から熱を奪います。

気化熱といいます。

気化熱とは液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。液体が蒸発するためには熱が必要になります。その熱は液体が接しているものからうばって蒸発します。だから、体がぬれていると、表面の水滴が体温をうばって蒸発しようとするから寒くなるのです。

https://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/netuworld/kikanetu/kikanetu.html

この気化熱によって、皮膚温が低下し、体温上昇は抑制されます。

一方で同時に体内にあった水分が蒸発してしまうので、結果的に体水分量が減少することになります。

暑熱環境下でサッカーの試合後には、発汗量が3~4ℓに及ぶと言われています。

このように大量の汗をかくので、適切な水分補給が必要だということは言うまでもありません。

水分補給における注意点

大前提として頭に入れておいた方がいいこととして、発汗量と同じだけの水分量を補給すればよいということではないということです。

実際に暑いところで激しい運動していると、3~4ℓも水分を補給するのはきついです。

なので、基本的には脱水率が2%を超えないようにするということに注意しましょう。

要は体重変動を2%以内に抑えればよいということです。

しかし、この2%以内に抑えることは意外と難しいのです。

実際に私が見ていたチームでも、練習のときでさえ、2%を超えて体重が減少している選手が何人かいました。

水分補給のタイミングとその目的

脱水してしまうと、熱を皮膚から放散させる能力も低下するため、運動前から脱水しないようにも気を付ける必要があります。

運動前

目的:水分不足状態で運動を開始しない

起床時の体重や尿比重によって、体水分量の不足が認められれば、朝食やそれ以外のタイミングで意識的に水分補給をしましょう。

具体的には体重1kgあたり、5~7㎖の量の水分補給を行います。

体重が60kgであれば300~420㎖の水分量です。

数時間しても尿が出ないようであれば、さらに摂取する水分量を追加する必要があるかもしれません。

移動による発汗もあるため、移動後にも体重を測定し、必要であれば水分補給を行う。

ナトリウムなどの電解質を含むスポーツドリンクまたは水を摂取しましょう。

水を多量に摂取し過ぎると運動中に尿意を通常より促進する可能性もあるため、各自調整しましょう。

少し冷たい水分を摂取することで、無駄な発汗や体温上昇を遅らせることができます。

アイススラリーを摂取することで、深部体温の低下も期待できます。

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運動中

目的:脱水が2%を超えないように体水分量の維持

運動中の水分摂取は各自に任せてしまうと、のどの渇きに応じて飲水するため、過度な水分摂取は防げるのですが、発汗量に見合うだけの水分補給ができない可能性が高くなります。

可能な限り計画的な水分摂取を行った方がよいです。

計画された水分量を摂取するため、2%を超える脱水を防ぐことができる可能性が高くなります。

しかし、ポジションによっては計画されたとおりに水分摂取ができない場合もあるので、とくに中央のポジションの選手にはプレーが切れたときに意識的に水分摂取を促す必要があるでしょう。

コロナの影響もあり、Jリーグでは2020年シーズンから前半と後半のちょうど真ん中あたりに飲水タイムが設けてあります。

当初はコロナにより、同じボトルを使用できないことから、水分摂取量が減少するため、設けられていましたが、計画的に水分摂取を行わせる上では非常に有効だと思います。

飲水タイムを利用して、選手たちに監督から指示を出して流れが変わることもしばしば見られたこともあり、違うメリットもあったように思います(^_^;)

ハーフタイムには、積極的な水分補給とアイススラリーやクリーリングベストで身体冷却を図り、手掌冷却や冷房を用いて(可能であれば)積極的に深部体温を下げるように対策しましょう。

運動後

目的:失われた体水分を素早く回復

運動中の水分補給量が適切であったかを把握するためにも運動後の体重測定は必ず行いましょう。

運動後の水分補給量の目安は、体重減少1kgにつき、1~1.5ℓです。

スポーツドリンクなどの電解質を含んだ飲料だけでなく、食事の中でスープ類を積極的に摂るようにしましょう。

経口補水液は急性の下痢が原因で起こる著しい脱水の際の治療法として利用されるのですが、運動後に経口補水液を取ることの脱水への効果はまだはっきりわかっていないようです。

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しかし、私が以前所属していたチームでも、実際に脱水傾向の強い選手には経口補水液を渡して、飲むように促していました。

まとめ

いかがでしたか。

運動による発汗によって、熱放散をすると同時に体水分量の減少につながるため、適切な水分補給が重要であることがわかったかと思います。

運動前は、運動前からの脱水を防ぐために、起床時のコンディションチェックとそれをもとにした水分補給が重要であること。

運動中は、のどの渇きに任せるのではなく、計画的に水分補給ができるようにして2%を超える脱水が起こらないように注意した方がよいこと。

運動後は、体重測定による脱水量の確認とそれを素早く回復させるような水分補給が重要で、水分だけでなく食事も利用した方がよいということ。

以上を参考に暑い夏に向けて、準備を怠らないようにしましょう。

ちなみにまだ5月ですが、今日は暑かったですよね。

毎日暑い日が続く真夏も気を付けないときませんが、今日のように急に暑くなるような日も意外と危険ですので、水分補給をこまめに行うようにしましょう!

参考文献↓

中村大輔:特集1-2 フットボールの暑熱対策 サッカーにおける暑さ対策を考える.フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1 10-26

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