今回も引き続き、夏に向けて暑さ対策に有益な情報をお届けします!
参考にしたのは、フットボール学会が発行している「フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1」(まだHP上では新刊に更新されていません ^^;)より”サッカーにおける暑さ対策かを考える”から、アスリートに参考にしてほしいものを厳選してご紹介します。
今回はサッカーですが、他の競技にも参考になると思います。
暑さ対策の重要性
サッカーに限らずですが、適切な暑さ対策を実践することは、パフォーマンス発揮の低下やトレーニング効率の低下を防ぐことができます。
さらには熱中症をはじめとした健康や生命を守ることにもなります。
まずは選手の命が一番ですからね。
毎年、熱中症で部活中に亡くなるというニュースを見かけますが、どうにか防ぎたいものです。
暑さ対策は、指導者や保護者、大会運営者はもちろん、選手にこそ、命を守り自分のパフォーマンスを落とさないためにも知っておくべきです。
暑熱順化
暑熱順化とは暑さに身体が適応することを指します。
前回の記事にも参考にしてください!
暑熱順化によって得られる効果には、血液量の増加、発汗量の増加、安静時の深部体温の低下などが挙げられます。
実験的に人工的な暑熱環境を用いた場合だと、順化トレーニングを行うと1~2週間で順化の効果が得られるといわれています。
暑熱環境下でトレーニングを行うことで暑熱順化は可能ですが、それ以外に私もあまり知識がありませんでしたが、温浴やサウナでも暑熱順化が可能なようです。
具体的に、44℃の温水に腰までつかる温浴を1日おきに1回45分、2週間継続することで、安静時の深部体温の低下や発汗能の増加など効果が認められたとする報告もあり、暑熱環境下でのトレーニングと組み合わせるとより疲労をコントロールしながら順化が可能かもしれません。
ただ、1回45分の入浴はちょっと長いような気もしますが、なるべく早く、暑熱順化したい場合には試してみてもいいかもしれません。
暑熱順化中の疲労コントロールも忘れずに!
ただし、熱ストレスは身体的な負担も大きいため、適切なリカバリーが必要なことも忘れてはいけません。
運動後の冷却や適切な水分補給、快適な環境下での睡眠を心がけましょう。
また、暑熱順化中のトレーニング後にタンパク質摂取(ミルクプロテイン)も順化効果を高められるようです。
暑熱下のコンディション評価
脱水の状態をチェックする方法
体重を用いた方法
短期的な体重の変化は、体脂肪量や筋量の変化よりも体水分量の増減の影響が大きいと考えられます。
起床時の体重が前日の起床時と比較して、体重減少が1%以内に収まっているかどうかは1つの基準にできるでしょう。
運動前の体重測定は起床時からの体重変化は食事や水分補給の影響に加え、練習場までの移動による発汗の影響が考えられます。
もし起床時よりも運動前の体重が減少している場合は、朝食の影響なのか、水分補給が不足していたのか、移動で汗をかいたのか、という大きく3つの要因を確認していくとよいでしょう。
練習前後の体重変化
練習前後の体重変化に関しては、私が所属していたサッカーチームで活用していました。
練習前後の体重変化は練習中の発汗量と水分補給量のバランスが大きな要因であるため、体重変化が2%以内に収まるように注意喚起をしていました。
日々、各選手の練習前後の体重変動をモニタリングしていると、2%を超える体重減少が見られる選手には、練習中に声掛けして水分補給を促すことができます。
数値で選手にも伝えられるため、有効な方法の一つだと思います。
尿を用いたチェック
測定機器があれば尿を用いて脱水レベルも把握することができます。
尿比重や尿浸透圧、尿の色を用いて脱水レベルの評価を行います。
尿比重は前所属チームでもチェックしていました。
尿比重とは、尿中の水分と固形成分の比率のことで、水分摂取量、腎機能、尿酸、糖、タンパク質摂取などの影響で変化します。
正常な尿比重値は1.020以下とされ、薄い黄色をしています。
尿の色に関してはサプリメントの影響を受けるので、参考程度にしていました。
ただし、尿比重が正常値より超えていた選手に、しっかり水分摂取させてもなかなか尿比重値が変わらないことも多く、個人の体質の影響もあるため、絶対的な指標にすることは難しいという実際に1年間測ってみた感想です。
まとめ
いかがでしたか。
選手にこそ、暑さ対策をしっかり理解し、自ら対策してほしいということと体重変動や尿を用いたコンディションチェックに関してご紹介しました。
長くなってしまったので、具体的な水分補給方法に関しては次回紹介します。
今回参考にした文献
中村大輔.特集1-2 フットボールの暑熱対策 サッカーにおける暑さ対策を考える.フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1 10-26.
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