暑い夏でも高いパフォーマンスを発揮する方法

今年の夏も暑くなるのでしょうか?

コロナ禍での猛烈な暑さは勘弁してほしいところです。

さて、今回は私が所属しているフットボール学会が発行している「フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1」の暑熱対策に関する記事からアスリートに役立つような情報を提供できればと思います。

今回はまず高温がヒトのからだに与える影響に関して、役立ちそうなあるいはタメになりそうな部分をいくつかご紹介します。

パフォーマンスを発揮しやすい体温や筋温がある!?

体温や筋温には、生体反応やパフォーマンスを向上させる至適温度域が存在します。

つまり、パフォーマンスを発揮する上でちょうどよい体温や気温がということですね。

寒すぎても暑すぎてもパフォーマンスは下がるということです。

下の図がそれを表しており、逆Uの字になっているように、体温や筋温がある一定の範囲を超えるとパフォーマンスが低下することがわかります。

ただ、人によって体温や筋温が何度が一番パフォーマンスが高いかというのは違ってきて、ウォーミングアップの内容や暑さに慣れるようなトレーニングを行うことによっても変わってきます。

冬は気温・体温ともに低いため、ウォーミングアップが重要になり、夏は気温・体温ともに高くなりやすいため、適切な体温低下のための処置が必要になる

体温が上がり過ぎると疲労が早く、パフォーマンスが落ちる!?

気温が高温で強度が強く運動時間が長くなると、体温が過度に上がり、運動効率が下がります。

体温高くなってしまうと、末梢および中枢神経系を介して疲労を誘発し、運動および認知能力の低下、ひいては熱中症を引き起こします。

以下に疲労の種類をいくつか挙げておきます。

  • 末梢性疲労
    • エネルギーの枯渇
    • 筋機能低下
    • 神経の情報伝達の変化
    • 呼吸、循環器系の変化
    • 水分の損失
    • 電解質の損失等
  • 中枢性疲労
    • 脳血流低下
    • 神経伝達物質の変化
    • モチベーション低下等

高体温だと疲労するのが早くなり、パフォーマンスも落ちやすいと言えますね。

暑熱環境下でパフォーマンスが低下する要因

暑熱環境下では、全身持久力、持久性運動パフォーマンス、間欠的運動パフォーマンスは低下します。

パフォーマンスが低下する要因は以下の3つが挙げられます。

1)体温の過度な上昇

体温が約40℃に達すると呼吸循環器系および中枢神経系の機能が低下し、それ以上運動を続けることができなくなります。

2)脱水

発汗の増大は脱水を進行させ、心臓循環系への負担が増大し、やがて体温上昇を抑制するための熱放散も制限してしまいます。

以下の表は、脱水がパフォーマンスに及ぼす影響ということで、体重の何%の発汗量でどのような症状が起こるかという目安です。

さすがに10%を超えると命の危険があります(*_*;

3)心拍数の増大

発汗量が増加すると心臓の1回拍出量が低下します。

しかし、熱放散のために皮膚血流の確保も必要なため、運動継続のために心拍数は必然的に増大します。

心拍数の増大だけの影響ではないのですが、暑熱環境では主観的運動強度も高くなるため、同じ運動でもきつく感じてしまい、反応時間が遅くなるなどの認知機能の低下も認められています。

実践的な暑さ対策

実際に暑さに対してできることは以下の通り。

  1. 水分補給
  2. 暑熱順化トレーニング
  3. 身体内部・外部冷却
  4. 体調管理や栄養補給、睡眠、リカバリー対策を含めたコンディショニング
  5. 衣服条件

暑熱順化

暑熱順化とは、安全性を考慮しつつ、あえて暑熱環境で身体を動かして暑さに慣れさせることです。

暑熱環境下で持久性トレーニングを繰り返すと、暑さに対する抵抗力(暑熱耐性)が改善される身体の適応のことをいいます。

内部冷却

身体内部から冷却する方法として、アイススラリーなどの摂取により、体の中(胃腸)から身体を冷やすのも効果的です。

私が以前所属していたチームでは、試合のハーフタイムにアイススラリーを選手に必ず摂取させていました。

摂取するときに手も冷やされるので、これは手掌部冷却も同時にできるのでとてもよいと感じました。

大塚製薬 ポカリスエット アイススラリー パウチ 100g×36個入

外部冷却

クーリングベスト

皮膚温の上昇を抑えるためクーリングベストを着用して外部から冷却します。

これも前所属チームで実際にハーフタイムにやっていました。

同じものがないか探しましたが、見つからなかったので、似たようなものを載せておきます。

これとは違うものですが、いつもハーフタイム前に氷水につけて、クーリングベストをキンキンに冷やしていました。

手掌部冷却

手を冷やすことで身体を外部から冷却する方法も有効です。

片手よりも両手の方が効果が高く、先ほどアイススラリーで同時に行えるといいましたが、厳密には氷水に手のひらを着けるのが一番よいようです。

まとめ

いかがでしたか。

これから来る暑さ対策を周りの人もそうですが、アスリート本人もしっかり理解しておくことが重要です。

最悪、命の危険まであるので、最後は自分の身は自分で守るという意味でも最低限の理解は必要です。

また、暑い夏でも高いパフォーマンスを発揮するためにも知っておいて損はありません。

次回は、具体的に暑い夏の日にある試合で、どのように計画的に水分摂取していけばよいか、ということについてご紹介できればと思います。

今回参考にした文献↓

長谷川博:特集1フットボールの暑熱対策 暑熱環境下におけるスポーツでの暑さ対策.フットボールの科学 2021 Vol.16 No.1 3-9

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