あなたは「からだ」のこと知っていますか?

人のからだは本当に不思議で奥が深いとつくづく思います。

選手や患者さんを見ていて思うことは、人のからだは絶妙な助け合いでなっているということ。

どういうことかというと、どこかに痛みが出た場合、そこを助けようと逆の足や痛みの部位の隣の部位がうまくかばってくれるのです。

これがまた本当絶妙です。

だから、人のからだは助け合い精神が強い。

そんな中、久々に小田伸午先生の

スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと

という本を読みました。

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スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと [ 小田伸午 ]
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その内容から、私が面白いと思ったポイントをいくつか紹介します。

腕はどこからついているか

腕はどこからついていると思いますか?

いわゆる肩の部分でしょ!と思ったあなた。

実は違うんです。

腕のおおもとは、実は胸の部分なのです。胸鎖関節と呼ばれる、胸骨と鎖骨のつなぎ目が腕のおおもとになります。

胸にある胸骨と鎖骨のつなぎ目(胸鎖関節)が腕のおおもと!

したがって、肩の可動域や肩甲骨の動きが硬いと感じたら、胸鎖関節の動きは必ずチェックするようにしましょう。

腕いわゆる上腕骨は、肩甲骨と関節を持ち、肩甲骨は鎖骨と関節を持ちます。

そして鎖骨が胸骨と関節を持ちます。

今まで肩だと思っていろいろ動かしていた人は、そもその動きの支点が違うということを肝に銘じましょう。

鎖骨を動かすように肩を動かすと、腕はより動かしやすくなります。

バレーボールやバスケットボール、キーパーなど手を使う競技やポジションは知っておくべき、そして使うべきポイントです。

暇があれば、胸鎖関節の部分をよくマッサージして、つなぎ目部分が動きやすい状態にしましょう。

動かすときも支点が胸鎖関節にあるということを意識して動かすことで人よりも長い腕を手に入れることができます!

母趾球荷重は本当にいいのか

よく母趾荷重がいいと言われますが、これはどうしてでしょう?

母趾球の1点で回転することで、接地時の摩擦を抑えて、膝が内に入るような怪我が予防できる、あるいは母趾球が一番力が伝わりやすいという理由で母趾球荷重が推奨される場合があります。

しかし、この母趾球荷重は内側に重心が寄ることで膝が内側に入りやすく怪我につながりやすいのではないか、という意見もあります。

母趾球を意識する場合、つま先を少し外に向けることで簡単に母趾球に荷重できます。

つまり偏平足のようなアーチが潰れた足も母趾球荷重になりやすいのです。

しかし、つま先を外に向ける姿勢は膝が内に入る姿勢にもなりやすく、いい姿勢(アライメント)とは言えません。

足の外側にも体重が乗るように足の裏全体で体重を支えられるようになる方がよいのです。

それは、膝の外旋を使うか、股関節の外旋を使うかの違いになってくるのですが、どちらがよいかと言えば、それは股関節です。

そもそも膝は屈曲と伸展の動きがメインで、回旋の動きはわずかです。

それに対して、股関節は球関節に分類され、屈曲ー伸展、外転ー内転、外旋ー内旋というように様々な方向への動きが可能で、筋肉も大きい筋肉から小さい筋肉まで、多くの筋肉があります。

股関節がよいのは明らかですね。

股関節の外旋を使う方が体に優しいし、筋力発揮もしやすいのです。

からだを動かすもう一つの力

からだを動かす力には、何があるでしょうか?

もちろん筋力ですよね。

しかし、もう一つあると言われたら、何かわかりますか?

そう、それは重力です。

地球上にいる人は全て重力が均等にかかっています。

この重力がからだを動かすもう一つの力になります。

例えば、普通に立っているには筋力が必要です。

筋力がなかったり、働かなかったりすると、地面にしゃがみこんでしまいますよね。

筋力が働かないと、重力の力で下に押されてしまうのです。

この重力をうまく利用することが大切です。

スポーツ選手が素早く前に動き出そうとしたときに、先ほどの母趾球で強く早く地面を蹴って動きだせばいいじゃないか、と普通は考えますよね。

でも重力をうまく利用するには、膝を抜くように動きたい方向に重心を移動させるだけでも体を動き出します。

簡単に言うと、母趾球で蹴るためには、母趾球の上まで重心を移動させて、さらにそれを乗り越えてから地面を蹴るという動作をしなければなりません。

しかし、膝を抜くようにすると、重心を抜いた方向へ落ちる力を利用してすぐに動き出すことが可能です。

さらに言うと重心が移動すると、反射の動きで自然と素早く反対の足がその方向に出るので、無駄な力なく素早く動けるのです。

この重力の力を利用するという観点があるかないかで、動きの質は変わってくるでしょう。

肩が痛い原因は首にあった!?

野球選手はガムを噛みながら打席に立っていることが多いですよね?

ひと昔前までは、試合中にガムを噛むなんてけしからん!という意見もありましたが、最近ではガムを噛むことの有効性が確立してきて、一般的な光景になってきました。

サッカー選手にもガムを噛みながら試合に臨んでいる選手がいます。

これは顔や顎を緩めることでリラックス効果があり、スプリントでのゴール直前でもこわ張った表情より、スマイルの方が減速しにくいとも言われています。

顔や顎に力が入ると、それにつながる首の筋肉である胸鎖乳突筋という筋肉が緊張します。

胸鎖乳突筋は胸骨と鎖骨の両方に付着する

これは胸鎖という名前が入っているとおり、胸鎖関節(胸骨と鎖骨)に付いています。

ということは胸鎖乳突筋が緊張すると、胸鎖関節の動きが悪くなります。

胸鎖関節は腕のおおもとでしたね。

胸鎖関節の動きが悪くなると、肩の動きも悪くなり、肩の周囲にも余計な力が入り、腕が振れなくなります。

腕が振れないとスプリントの最後のスパートでもスピードが出せなくなり、減速してしまうのも納得です。

なので、顔や顎の筋肉が緩んで胸鎖乳突筋の緊張が高まらないようにしておく必要があるのです。

これはスポーツ選手に限らず、最近増えているデスクワークの人にも言えます。

デスクワークを長時間続けていると、画面を見るために斜め下を見ることになり、さらに姿勢も崩れてきて胸鎖乳突筋は短縮位となります。

そうすると胸鎖関節の動きが悪くなり、首のコリだけでなく、腕のおおもとが動かなくなることで肩関節がその分をかばうことで、かかるストレスもその分増大します。

この状態でちょっと重い物を持ったり、無理な動きや可動域を超えるような突発的な動きがあると肩にストレスがかかり、炎症が起きることになります。

これがもし40代、50代の人であれば、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎なのです。

したがって、肩に症状が出るにもかかわらず、原因は肩ではなく、首の筋肉にあるのです。

さらに言えば、デスクワーク中の姿勢や表情のこわばり、顎の噛みしめなどが原因の可能性もあるのです。

まとめ

いかがでしたか。

からだは知れば知るほど奥が深く、とても面白いものです。

まだまだ私たちの知らないことがたくさんあります。

今回、参考にさせてもらった小田伸午先生の本にはほかにも面白いことが載っています。

ぜひ、一読して、からだの面白さを味わっていただければと思います。

アスリートはきっとパフォーマンス向上のカギが隠されていることでしょう。

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